Take It Easy

語りたいこと。備忘録。

感想文:22年目の告白-私が殺人犯です-

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 <ネタバレ感想>

「クズ役といえば」の藤原竜也と、「熱血漢役といえば」の伊藤英明。こんな雰囲気の役をやっているイメージが世間的にも強い二人ですが、そのイメージを逆手に取った非常にうまい配役だなぁ、と何だか偉そうに思いながら見ていました。

曽根崎の正体は、ニュース番組で正体を明かす場面がくるまで、私は全く気付きませんでした。タクミも死んだかのように描かれていたし、完全に騙されたなぁ。曽根崎はイケメンだけど終始なんか腹立つ感じで(笑)見ている側を「こいつほんと腹立つ!」って思わせる、感情を逆なでしてくる感じがさすが藤原竜也でした。「藁の楯」で似たような気持ちになったことを思い出した(あいつは最後までクズでしたが)。病院で、曽根崎が口元を押さえて牧村に小声で何かつぶやくシーンがお見事でしたね。絶対クズっぽいこと言ってるようにしか見えないもん。

事実が明らかになると、それまでの行動も辻褄が合ってくる(サイン会で襲われそうになった曽根崎を牧村が身を挺して守るのも頷ける)。見ててビックリしつつも、告白本を出版した動機としては一番納得いったし、理解も共感もできたな。

 

実際に起こった事件でも手記を出している犯人っていますけど、どういう心境なんでしょうね。まぁ、一概にこうだとは言えないのでしょうけども。最後、仙堂も手記を出しているわけですが、彼の場合は「注目を浴びたい」の一択な気がする。ソネ様フィーバーとかすごい羨ましがってそう。

 

映画としては、正直曽根崎が正体を明かす場面がピークで、細かいことを突っ込みだすと色々粗もあるのでしょうが(あの高さのビルの屋上から飛び降りて生きているのは難しいんじゃないかなぁ)、それを差し引いてもスリリングでとても面白い映画でした。満足です。

感想文:葉桜の季節に君を想うということ

 

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

 

 

<感想>

ラブストーリーのようなタイトルだけど、ジャンル的には「私立探偵モノ」になるのかなぁ。ミステリ小説のオススメまとめとかによく出てくるから手に取ってみたんですけど、2004年のミステリー賞総なめの作品だったみたいですね。かくいう私も終盤まで全くトリックに気づきませんでした。いやぁ、人の先入観ってすごいですね。

 

トリックとしては大きく2つ、「年齢」と「名前」だと思うんですけど、驚きで言えば名前のほうが大きかったかも。年齢のほうって、読んでるとやっぱり多少違和感は感じるんですよね。実際、何回か「この人って何歳なんだっけ?」ってページを遡ったりしましたし。(それでも30代くらいの印象を受けましたけどね。)布団の即売会に紛れ込んでも怪しまれないとか、高齢の清掃員と入れ替わっても誰も気に留めないとか、改めて考えるとやっぱり妙なんですよ。まぁ、それでも騙されたわけなんですけど。その点、名前はそういう違和感が全然なくて、全く気付かなかったなぁ。お見事。

 

トーリーとしては、蓬莱俱楽部が結局どうなったのかが分からないわけなんですが、あんまり重要なことではないんでしょうね。

何歳になってもワクワク出来ることがあるって、確かに素敵なことです。私なんか、29歳で退職して、結婚の予定もなく「いい歳してこれからどうしよう」という一抹の不安を心に住まわせているわけですが、「29歳ごときのガキが馬鹿なことを抜かすな」と一喝されてしまいそうな、ある意味パワフルなお話でした。歳を取るって、実はそんなに悪いことでもないのかもね。