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語りたいこと。備忘録。

感想文:葉桜の季節に君を想うということ

 

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

 

 

<感想>

ラブストーリーのようなタイトルだけど、ジャンル的には「私立探偵モノ」になるのかなぁ。ミステリ小説のオススメまとめとかによく出てくるから手に取ってみたんですけど、2004年のミステリー賞総なめの作品だったみたいですね。かくいう私も終盤まで全くトリックに気づきませんでした。いやぁ、人の先入観ってすごいですね。

 

トリックとしては大きく2つ、「年齢」と「名前」だと思うんですけど、驚きで言えば名前のほうが大きかったかも。年齢のほうって、読んでるとやっぱり多少違和感は感じるんですよね。実際、何回か「この人って何歳なんだっけ?」ってページを遡ったりしましたし。(それでも30代くらいの印象を受けましたけどね。)布団の即売会に紛れ込んでも怪しまれないとか、高齢の清掃員と入れ替わっても誰も気に留めないとか、改めて考えるとやっぱり妙なんですよ。まぁ、それでも騙されたわけなんですけど。その点、名前はそういう違和感が全然なくて、全く気付かなかったなぁ。お見事。

 

トーリーとしては、蓬莱俱楽部が結局どうなったのかが分からないわけなんですが、あんまり重要なことではないんでしょうね。

何歳になってもワクワク出来ることがあるって、確かに素敵なことです。私なんか、29歳で退職して、結婚の予定もなく「いい歳してこれからどうしよう」という一抹の不安を心に住まわせているわけですが、「29歳ごときのガキが馬鹿なことを抜かすな」と一喝されてしまいそうな、ある意味パワフルなお話でした。歳を取るって、実はそんなに悪いことでもないのかもね。